【特車申請を解説!※画像付き】申請の流れと必要書類について解説します!
特車申請の必要な書類や手続きはどうなっているんだろう?
オンラインで書類を作成できるって聞いたけど・・・
特車申請は一定の条件を満たせば、オンラインで完結させることができます。
窓口で申請を行う場合であっても、申請書類の半分以上はオンラインシステムで作成することができます。
オンラインシステムを活用すると書類を簡単に作ることができるのでお勧めです。
オンライン申請の手続きは、それほど複雑ではないので、このコラムで流れを解説します!
このコラムで分かること
- 特車申請に必要な書類が分かります
- オンライン申請の手続きの流れが分かります
- 書類を作成するときのワンポイントと注意点が分かります
申請に必要な書類とサンプル
特殊車両通行許可申請に必要な書類は、原則以下の9つになります。
申請する車両や通行する経路に応じて、9つ以外の書類を準備することを道路管理者から求められることもありますので、注意が必要です。
- 申請書
- 車両内訳書
- 車両諸元についての説明書
- 通行経路表
- 経路図
- 申請したい車両の車検証(写し)
- 車両の旋回軌跡図
- 荷姿図
- 未収録地図
以下、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
【ちょっと一言】
上記必要書類の1~5に関しては、特車オンラインシステムで作成することができます。
したがって、申請書類などをDLして手書きで作成する必要はありません。
また、6の車検証については、オンラインで申請する場合は不要です。
国道事務所が、勝手に車検証データベースにアクセスし、車検証のデータを取得してくれるからです。
※時期の関係で、車検証がデータベースに保存されていないことが稀にあり、その場合は車検証のデータを送付する必要があります。
7と8の書類は、申請後に道路管理者から求められることがあります。求められてから提出すれば問題ありません。
9の書類は、通行する経路の中に未収録道路や未収録の交差点がある場合に作成する必要があります。
道路の名称などを調べたりする(役所に問い合わせる)必要があるので、結構面倒です。
その上、未収録道路や未収録の交差点がある経路を通行する場合、許可が下りるまでの期間が長くなってしまいます。
なるべく未収録の道路や交差点がある経路は通行しないようにしたいところです。
1.特殊車両通行許可・認定申請書(申請書)
図1
特殊車両通行許可申請書類作成要領 (簡 易 版)p15より抜粋
左の画像(図1)が、「特殊車両通行許可・認定申請書」です。
こちらの書類に必要事項を記載していきます。
※オンラインシステムで作成する場合は、オンラインシステムに従って必要事項を記入していくことになります。
記入する数値のほとんどは、車検証や車両の諸元表、三面図を見れば分かるので、間違えがないように記入していきます。
2.車両内訳書
図2
特殊車両通行許可申請書類作成要領 (簡 易 版)p20より抜粋
左の画像(図2)が、「車両内訳書」です。
申請する車両について、整理番号、役割、車名、型式、車番などを一覧にした表形式の書類です。
こちらに申請する車両について、すべて漏れなく記載していく必要があります。
というのも、取締時には当該車両が、この車両内訳書に載っているかが確認されるからです。
取締時に、車両内訳書に掲載されていない場合は、無許可での通行と判断され、ペナルティを課されます。
3.車両諸元に関する説明書
図3
特殊車両通行許可申請書類作成要領 (簡 易 版)p25より抜粋
左の画像(図3)が「車両諸元に関する説明書」です。
車両諸元に関する説明書とは、その名の通り、車両の諸元に関する詳細が記載されている書類のことです。
主に軸種に応じてコードが異なりますので、申請をお考えの車両がどの軸種か、間違いがないように気を付ける必要があります。
4.通行経路表
図4
特殊車両通行許可申請書類作成要領 (簡 易 版)p21より抜粋
左の画像(図4)が、「通行経路表」の例です。
申請したい経路の数だけ作成する必要があります。
通行経路表には、出発地・目的地、通行したい路線の名称、交差点番号などを記載します。
5.経路図
図5
特殊車両通行許可申請書類作成要領 (簡 易 版)p24より抜粋
左の画像(図5)が、「経路図」の例になります。
出発地点か目的地まで、どのような経路で通行するかを地図上で示します。
出発地点が複数ある場合は、その1つ1つについて作成する必要があります。
また、経路図は「道路情報便覧更新付図表示システム」を使用した地図で作成する必要があります。
「道路情報便覧更新付図表示システム」は、道路情報便覧に基づいて作成された地図なので、収録道路か否かや交差点番号がわかります。
非常に便利ですので、活用しない手はないです。
【ちょっと一言】
先ほども述べましたが、1~5までの書類はすべてオンラインシステムで作成可能です。
手書き等のアナログでは時間がかかってしまうので、オンラインシステムで作成することを強くお勧めいたします。
オンラインシステムの難点は、慣れるまでシステムが使いにくいという点です(国が用意したシステムなので…)。
また、書類の作成だけでなく、申請そのものをオンライで行う場合は、作成したデータをそのまま送信するだけで済むので、迅速な申請が可能です。
ただし、何でもかんでもオンラインで申請できるわけではないので注意が必要です(後述)。
6.申請したい車両の車検証(写し)
図6
窓口で申請を行う場合、車検証の写しを添付書類として用意する必要があります。
前述のとおり、オンライン申請を行う場合は、車検証の写しは不要です。
また、申請車両がセミトレーラーの場合は、トラクタ(ヘッド)かトレーラ(シャーシ)の車検証の備考欄に、「連結検討」が記載されているかチェックしておきましょう。
特車申請時に、連結検討の記載がなくても申請自体は通りますが、許可所得後に取締があった際に、車検証の提示を求められ、連結検討が記載されていなければ、問題となる可能性があります。
連結検討の記載がないようであれば、ディーラーに問い合わせて、連結検討を取得されることをお勧めいたします。
7.車両の旋回軌跡図
図7
『特殊車両オンライン申請システム~説明資料~ 平成26年10月版国土交通省』
p52より抜粋
左の画像(図7)が、「旋回軌跡図」の例になります。
特殊車両が曲がる際に、どのような軌跡を描きながら曲がっていくかを示した図になります。
申請する車両の幅と通行経路の幅の関係から、申請後に道路管理者から提出を求められることがあります。提出を求められてから用意すれば問題ありません。
市販のソフトで作成するか、ディーラーに問い合わせて入手します。
8.荷姿図
図8
「特殊車両通行許可制度オンライン申請システム」よくある申請書の不備の事例
~わかりやすいオンライン申請マニュアル 【別冊1】~
令和4年3月 国土交通省 道路局 公益社団法人 全日本トラック協会
p20より抜粋
左の画像(図8)が、「荷姿図」です。
図7からも分かる通り、荷姿図とは、申請車両に申請する積載物を積載した際の外観を示した図です。
こちらの書類も、旋回軌跡図と同様、申請後に道路管理者から提出を求められることがあります。提出を求められてから準備すれば問題ありません。
9.未収録地図
図9
特殊車両通行許可申請手続における留意点
~わかりやすいオンライン申請マニュアル 別冊2~
平成29年3月 国土交通省 道路局 公益社団法人 全日本トラック協会
p4より抜粋
図10
特殊車両通行許可申請手続における留意点
~わかりやすいオンライン申請マニュアル 別冊2~
平成29年3月 国土交通省 道路局 公益社団法人 全日本トラック協会
p4より抜粋
上記画像(図9、10)が、「未収録地図」の例になります。
未収録地図は、通行経路が道路便覧情報に掲載されていない道路である場合に、作成する必要があります。
作成する際は、「路線の名称」及び「交差点番号」を記載し、通行する未収録道路がどこであるか明示する必要があります。
市販の地図を用いて、手書き作成しても構いません(未収録地図に関しては手書き作成が速いです)。不要部分は修正テープで消すのがコツです。
未収録道路を通行する場合、個別審査となり、許可が下りるまでの期間が長くなります。オマケに未収録地図まで作成しなければならないので、申請までに時間がかかります。
なるべく未収録道路を通らないような通行経路を作成したいですね。
【ちょっと一言】
特車の申請は、申請する車両や通行する経路によって、通行条件や審査期間の目安が決まってきます。
したがって、申請してみるまで分からないことが案外多いです。
何があるか分からないので、特車の申請はできる限る早期に行っておくべきですね。
申請の流れ
先ほどまで説明していた必要書類を作成・収集できたら、いよいよ申請に移ります。
特殊車両通行許可申請はオンラインでの申請が主流ですので、オンライン申請の場合の流れを解説します。
【オンライン申請の流れ】
- STEP1 申請書の作成・申請データの送信 @申請者
- 書類に必要事項を記入し、国道事務所へオンライン申請します。
手続きはすべて、国土交通省の「オンライン申請システム」で完結します。
※オンライン申請ができる申請は、申請経路が直轄国道を通る場合に限られます。
逆にどこか1経路でも直轄国道を通れば、オンライン申請することができるので、直轄国道を通るように経路を設定する必要があります。
直轄国道を通らない場合は窓口申請となり、道路管理者の元へ申請に行く必要があります。
- STEP2 申請データの審査・受付 @申請者・国道事務所
- 申請データを作成し、国道事務所に送信すると、一定の期間(塩漬け期間)を経て、国道事務所が申請データに不備がないかチェックします(形式的な審査)。
このとき、申請データに不備があると、申請データが差し戻されてしまいます。差し戻されると、許可取得までに時間がかかってしまうので、差戻レベルのミスはないように心掛けなければなりません。
申請データに不備がなければ、国道事務所に申請データを受け付けてもらえます。
なお、申請経路が2以上の道路管理者に係るのであれば、この時点で手数料が発生します。
- STEP3 実質的な審査(申請経路に未収録道路があれば、各道路管理者への協議) @国道事務所・各道路管理者
- 申請データが受け付けられた後、国道事務所は「申請された車両が、申請された経路を通行することができるのか」をチェックします(実質的な審査)。
◆申請経路が道路便覧に収録された道路のみで、かつ個別審査がない場合は、許可証の作成に移ります。
◆申請経路に道路便覧に収録されていない未収録道路がある又は個別審査がある場合は、各道路管理者との協議を行うことになります。
各道路管理者は、国道事務所から協議書が送付されてきたら、申請車両が申請経路を通行できるか否か判断し、国道事務所に回答します。
- STEP4 通行許可証の作成 @国道事務所
- 申請の内容に応じて、通行許可・通行不許可を判断し、許可証の発行を行います。
このとき、同時に通行手数料の納付書を申請者宛に郵送します。
- STEP5 許可証の取得 @申請者
- 国道事務所が通行許可証を発行した後、申請者にメールでその旨通知されます。
オンライン申請の場合は、通行許可証をオンラインシステム上でダウンロードし、取得することができます。
以上がオンライン申請の大まかな流れです。
申請データを国道事務所に送信してから許可が下りるまで、新規申請の場合はおよそ3週間程度かかります。
申請車両の数、申請経路の本数、個別審査の程度・数、国道事務所の込み具合によっては、2か月、3か月かかることもあるので、早期の申請を心掛けることをお勧めいたします。
申請車両、申請経路の数が少なく、個別審査がない場合、1週間程度で許可が下りることもありますが、稀なケースだと考えておく方が良いかと思います。
【ちょっと一言】
書類に不備があった場合、許可取得までの期間がさらに伸びるので注意が必要です。
この例えが分かりやすいか不明ですが、
イメージとしては、申請データを送信した後は「国道事務所の前にできている行列に並んだ状態」になります。
そのあと、自分の番が回ってくるまで順番を待つ期間があります(これを塩漬け期間と呼んでいます)。
ようやく自分の番が回ってきたとしても、申請データに不備があれば、修正して再び行列に並びなおす羽目になります。
そうすると、また自分の番が回ってくるまで待つ必要があります。
このように、申請が差し戻されると許可を取得するまでに時間がかかってしまうので、注意が必要です。
まとめ
本コラムでは、特車申請の必要書類と、オンライン申請の基本的な流れについて解説しました。
必要書類はオンライン申請で作成することができますが、オンラインシステムが非常に使いずらく、慣れるまで難しいです。
よく分からないまま操作して、誤った申請書等のデータを作成して国道事務所に送信すると差し戻されてしまいます。
許可を迅速に取得する必要があるのであれば、特車申請を専門に扱う行政書士に依頼するのが良いでしょう。